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会長からの挨拶

日本動物細胞工学会会長 清水 誠

(東京大学大学院 農学生命科学研究科)

 2007年4月から当学会の会長を拝命いたしました。
 動物細胞工学会(JAACT)は1991年に設立された学会です。設立者の故村上浩紀先生(九州大学)は、生命科学における新しい技術として当時脚光を浴び始めていた動物細胞培養技術の発展と産業への利用推進を最大の目標として、この学会を創立しました。第1回の大会では、「動物細胞工学における新しい潮流」と題するシンポジウムが開かれ、細胞による免疫分子の産生、人工臓器、効率的培養システム、培養細胞を用いた機能検定、タンパク質製剤の品質管理、といった内容の講演がおこなわれています。驚くべきことに、これらのテーマは現在でもなお重要性の高いテーマであり、学会設立当時の理念がきわめて先見性のある立派なものであったことが分かります。このような研究領域をさらに発展させるとともに、一方では動物細胞工学の新しい研究領域を切り開いていくこと、さらに学会としての社会的責任を果たしていくことが、現在我々に課せられている使命だと考えています。
今期のJAACTは以下のような目標を定め、活動していきたいと思っています。
 第1は、JAACTの取り組むべき新しい研究領域を積極的に探索し、それを大会やシンポジウムの場を利用してアピールしていくことです。これまでの蓄積の上に、当学会ならではの斬新な研究・開発領域を何か構築できればと考えています。特にこれまで当学会が産業を強く意識してきたことも考え、産業界の意見を十分に聞きながら、進むべき途を見出していく必要があります。
 第2は、動物細胞工学技術がどのようなものかを社会に対して発信し、その重要性や社会貢献の実態を積極的にアピールしていくことです。高校生などを対象とした講演会やセミナーを通して、若者の科学力増進にも貢献したいと考えています。
第3は、JAACTの会員が得られるメリットの一つとしての、海外の関連学会との連携強化です。欧州動物細胞工学会(ESACT)や米国In Vitro Biology学会と定期的に連携して学会活動を行ってきた実績を基盤に、特に若い学会員が国際的な活動に慣れ親しむように、そこから新しい仕事を立ち上げてくれるようにさらに後押しをしたいと考えています。このたび新しく国際交流委員会を学会内に設置し、これまで以上に当学会の国際的な存在感を高めていきたいと考えています。
第4は、学会員にとってのもうひとつのメリットであるCytotechnology誌への論文掲載活動です。当学会はSpringer社が出版している同誌に定期的に論文を掲載するルートを持っています。我々が質の高い論文を多数発表することにより、このジャーナルのレベルを高め、会員の成果発表意欲を高める道を整備したいと考えています。そのためにCytotechnology編集委員会も学会内に設置しました。
 JAACTは大学会ではありませんが、動物細胞を使った研究・技術のノウハウを持つスペシャリスト集団として、大学での基礎研究にも、企業における応用・開発研究にもつながる存在感のある活動をしていきます。会員の皆様、企業のご協力をお願いするとともに、この分野に関心のある方々のご参加を心よりお待ちしています。